タレパン加工・レーザータレパン複合機のメリットと注意点
タレパン加工(タレットパンチプレス)は、金型を用いて金属板に穴あけや打ち抜きを行う加工方法です。高速かつ多様な形状に対応できるため、板金製造における基盤技術の一つとされています。さらに近年は、レーザー加工と組み合わせた複合機が普及し、柔軟性と効率を兼ね備えた生産体制が実現されています。本記事では、タレパン加工と複合機の基礎、用途、メリットと注意点、精度を高める工夫、発注時に押さえるべきポイント、そして相双地域の対応企業について整理します。
■ タレパン加工とは
タレパン加工とは、回転式のタレットに多数の金型を装着し、必要な形状のパンチを選択して金属板に穴や切り抜きを行う加工です。
- 直線や丸穴を高速で繰り返し打ち抜くことが可能
- エンボス加工やタップ加工も一部の機種で対応可能
- 多品種小ロットにも柔軟に対応でき、金型交換もスピーディ
近年ではレーザー切断機能を組み合わせた「レーザータレパン複合機」が普及し、従来の制約を大幅に解消しています。
■ 複合機の特徴
レーザーとタレパンを一台に統合した複合機には、以下の利点があります。
- タレパンで穴あけ・成形を行い、レーザーで自由曲線や複雑形状を加工可能
- 外周切断をレーザーで行うことで金型不要、設計変更にも即応
- 工程集約により段取りが減り、納期短縮・省スペース化が実現
これにより、試作から量産まで幅広いニーズに対応可能となっています。
■ 適用できる部品と用途
タレパン加工および複合機は、次のような部品製造で多用されています。
- 電子機器筐体:サーバーラック、PCケース、制御盤
- 産業機械カバー:安全カバー、装置外装パネル
- 医療機器部品:筐体、パネル、ブラケット
- 建築資材:パネル、装飾板、換気口部品
直線的な穴あけから複雑な曲線形状まで、幅広い加工を一台で完結できるのが大きな特徴です。
■ メリットと注意点
タレパン加工および複合機の導入には、次のようなメリットとリスクがあります。
- メリット
- 高速加工で量産性が高い
- 金型を利用した打ち抜きは寸法精度と再現性に優れる
- 複合機では金型不要で自由形状に対応可能
- 工程集約により段取り時間を短縮
- 注意点
- 金型製作やメンテナンスにコストがかかる
- 打ち抜き時にバリや変形が発生しやすい
- 厚板加工には不向きで、板厚の制約がある
- 複合機は設備投資コストが高い
■ 精度を高めるための工夫
高品質なタレパン加工を行うために、現場では次のような工夫が実施されています。
- 金型メンテナンス:定期研磨や清掃により寸法精度を維持
- バリ取り処理:二次加工や自動バリ取り装置で外観品質を向上
- 適正なクリアランス設定:板厚や材質に応じたパンチ・ダイ間隔で変形を防止
- レーザーとの組み合わせ最適化:穴あけはタレパン、複雑形状はレーザー、と工程を分担
■ 発注者が押さえるべきポイント
外注時に発注者が明示しておくべき項目は以下の通りです。
- 材質と板厚(鉄・アルミ・ステンレスなど)
- 穴形状と公差(丸穴・長穴・スリット・複雑形状)
- 表面処理の有無(塗装・めっきなど、二次加工との兼ね合い)
- 数量と納期(試作か量産かで段取りが変わる)
- 仕上げレベル(バリ取りの有無、外観基準の指定)
これらを明確にしておくことで、仕様のすれ違いを防ぎ、納期やコストを安定させられます。
■ 相双地域にもタレパン・複合機を備えた企業が多数存在
相双地域には、最新のタレットパンチプレスやレーザー複合機を保有する板金メーカーが集まっています。多品種少量生産から量産まで対応可能で、試作・短納期にも強みを持つ工場が多く存在します。また、バリ取りや塗装・溶接を含めた一貫生産に対応できる企業もあり、発注者にとって信頼性の高いパートナーを地域内で見つけることができます。特に、複雑形状やデザイン性の高い製品にも柔軟に対応できる体制が整っており、幅広い業界から高い評価を得ています。


