基板製造の基礎と種類|用途・特徴・発注ポイントをわかりやすく解説
基板(プリント基板、PCB)は、電子機器の回路を構成するための土台であり、電子部品同士を電気的に接続する役割を持ちます。情報機器・産業装置・自動車・医療機器など、あらゆる電子製品の中核を支える存在であり、設計・材料・加工方式によって性能が大きく変わります。本記事では、汎用的な基板の種類や用途、加工時の注意点、発注時に押さえるべき要点について解説します。
■ 基板とは
基板とは、絶縁材料をベースに銅箔で回路パターンを形成し、電子部品を電気的・機械的に保持するための構造体です。主な種類として、リジット基板(硬質基板)、フレキシブル基板(FPC)、リジットフレックス基板があります。一般的な材料はFR-4(ガラスエポキシ)、CEM系、ポリイミドなどで、回路形成にはフォトリソグラフィ・エッチング・ドリル加工・めっきなどの工程が用いられます。設計段階から電気特性・熱特性・機構要件を考慮することが重要です。
■ 適用できる部品と用途
- 産業機器:PLC制御基板、電源基板、I/Oモジュール
- 通信機器:無線機、基地局、ネットワーク装置
- 民生機器:PC、家電、モバイル端末
- 医療・分析装置:制御基板、センサー基板
- 車載機器:ECU、ADAS関連基板、バッテリー管理基板
用途ごとに回路密度、耐熱性、耐湿性、信頼性要求が異なり、適切な材質と構造を選定する必要があります。
■ メリットと注意点
基板を使用する最大のメリットは、電子部品を高密度に実装でき、製品の小型化・安定性・量産性を高められる点です。さらに、多層化や高速信号配線により高機能化が可能です。一方で注意点として、パターン断線、スルーホール不良、反り、絶縁不良などのリスクがあり、材料品質と工程管理が製品性能に直結します。高周波用途では誘電率・損失係数の管理も不可欠です。
■ 加工精度を高めるための工夫
高品質な基板製造には、以下の工夫が重要です。
- 材料管理:湿度条件や保存状態を管理し、反り・膨張を抑制
- ドリル精度向上:レーザードリルや小径ドリルによる微細穴加工
- めっき品質管理:スルーホール内の均一な銅めっき厚を確保
- パターン形成精度:露光・現像条件の最適化による微細パターン維持
- 検査工程の徹底:電気検査(フライングプローブ)、外観検査
特に高密度基板では基材選定とプロセス条件が重要です。
■ 発注者が押さえるべきポイント
基板を外注する際は、GerberデータやODB++などの設計データに加え、以下の仕様を明確に伝えることが重要です。
- 材質(FR-4、ポリイミド、高周波材など)
- 層数、板厚、銅箔厚
- 表面処理(ENIG、HAL、無電解Snなど)
- インピーダンス制御の有無
- レジスト色、シルク仕様
また、量産前の試作段階では、設計変更の可能性や納期優先度も共有しておくとスムーズに進みます。
■ 相双地域にも基板製造を行う企業が存在
相双地域には、リジット基板を中心に、試作から量産まで対応できる基板メーカーが存在します。高多層基板や特殊材料を扱う企業、実装工程まで一貫対応できる企業もあり、産業機器・通信・医療向けの高信頼基板を提供しています。地域特性を活かした短納期対応も強みで、開発から量産まで安心して依頼できるパートナーが揃っています。
